Aestheticism

KAMIJO/Versailles/映画

勝手にストーリーレビュー:Symphony of The Vampire 2 [KAMIJO]

ストーリーレビュー

物語を解体して組立てて遊ぶ編。
引続き超個人見解。長いので少しずつ追加して行きます。


前回記事
aestheticism.hatenadiary.com








第一楽章「Presto」

謎のストーリーテラー

遺されたロザリオ 王冠なき王の為に
捧げるこの体を 私はあなたの生贄となる
(Symphony of The Vampire/第一楽章「Presto」)


第1楽章があらすじになっているんですが、これもただのあらすじではなくて、“身代わりの少年”の視点でのものになっています。(KAMIJO特集! - ViSULOG)


所謂ザ・KAMIJO曲!のイントロから始まる物語のあらすじ。まだまだ導入部なので史実に触れて行くのは第二楽章〜。

このあらすじ、話を辿る視点が明らかに“違う人間”感にモヤモヤしてこの物語はルイ17世・第三のルイは兎も角、全く別の“ストーリーテラー”が存在すると思ってた。
“KAMIJO自身が自らを生贄として、現代に伝えられるルイ17世と物語をリンクさせながらルイ17世に身を捧げた”と、考えたけどそんな深読み大好き人間、過去のインタビュー記事で打ち砕かれた。

しかし勝手に提唱したKAMIJO自身がストーリーテラー説、あながち間違いでもない。
筋書きのある物語だからこそボーカリストとしての表現方法を考えていたらしい(感情を出さず、単調である事)ので、ルイ17世を演じながら取り憑かれる一歩手前かな、とも。




“蘇生”とは?

生き延びたのか?蘇生したのか?
あるいは不死の身を得たのか?
誰も知る由もない 闇と血のプレスト
(Symphony of The Vampire/第一楽章「Presto」)


そ‐せい【×蘇生/×甦生】
[名](スル)
1 息をふきかえすこと。生き返ること。よみがえること。「心臓マッサージで―する」
2 生き返ったように元気になること。「傾きかけた事業を―させる」


生き延びたのか?←わかる
蘇生したのか?←わからない
不死の身を得たのか?←まぁわかる


連れ出され生き延びた、連れ出された事で幽閉されている時は死をも彷徨ったけれど蘇生した、もしくは…
完全にヴァンパイア伏線。第二楽章でも触れるけど壮絶な虐待だったから 2 生き返ったように元気になること。 が有力。





貴族の為のレクイエム

歴史の闇に葬られた 貴族達へのレクイエム
それは階級の悲劇が 謳う愛のテーゼ
(Symphony of The Vampire/第一楽章「Presto」)


こういうものを始めてから楽章を解体して一つ一つ歌詞を見返した時、この物語自体実は当時陰になってしまったフランス貴族達に光を当てる様に創られたある種のレクイエムなのでは?と感じた。
その要因の一つは「Symphony of The Vampire('14)」発表後の同年9月発表「Heart」発売インタビューから。

──フランス革命にそこまで強く惹かれるのは、どうしてだと思いますか?


どうしてでしょうね。最初はきっと憧れだけだったと思うんです。そこからいろいろなことを学ぶことによって、歴史の裏側も知り、それを「Symphony of The Vampire」で描かせてもらって……うーん、うまく言えないな。放っておけないというか、他人事ではない気がするんですよね。そこには理由はないのかもしれないです。


──なるほど。ちなみにフランス革命を背景にした他の作品にも興味はありますか? 例えば「レ・ミゼラブル」とか。


レ・ミゼラブル」は素晴らしい作品ですが、僕はそこまで感動しなかったんです。あの作品には貴族側のことはそれほど描かれてないですよね。僕が惹かれているのは、貴族の生き様なので。

(KAMIJO「Heart」インタビュー (2/2) - 音楽ナタリー Power Push)


“貴族の為のレクイエム”と言えば過大解釈になるが“如何にもフランス史・フランス作品が好きそう”なKAMIJOのこの発言。
自分がレ・ミゼラブルが好きなのもあり、はたまた当時まだ浅いKAMIJO知識が故意外な発言と思って記憶に残ってたけど、今考えると貴族贔屓こそKAMIJOらしさもでもあるから最早レクイエムだとそう解釈(勿論勝手に)した方が面白い。流石神奈川に舞い降りたフランス貴族。いや、神奈川貴族。






***

Symphony of The Vampire 第一楽章「Presto」
構成:★★★☆☆
伏線:★★★★☆
展開:★★☆☆☆
感動:★☆☆☆☆
興奮:★★★★☆

総評:★★★☆☆

ダラダラ書いてオチが無いのでレビューらしく最後は各章偏見レビュー。感動興奮は楽曲併せて。

展開というより伏線バシバシで謎解きタイムの第一楽章。
ライブではもう何回も聴いたけどKAMIJOの「Symphony of The Vampire」のタイトルコールとともに流れるイントロ、「行けー!!」という煽りにただただパブロフの犬。そうだよ。犬だ。民衆か犬が下僕か分からないけど、頭を振るしかない。
Aestheticismツアー、やはり物語とコンセプトがあるだけに去年のお祭りツアーの時の崩壊に組み込んでSOTVをやるより、何とな〜く楽しい気がする。ま、その時その時でいつも楽しい。ツアー楽しいな。ソロ楽しい。





第二楽章「Sacrifice of Allegro」

公爵とルイ17世の謎

伏線バシバシの第一楽章が終わると物語は本編へ。
物語の時代背景は前回記事(勝手にストーリーレビュー:Symphony of The Vampire 1 [KAMIJO] - Aestheticism)で触れた年表の中の1793年7月頃と推測される。
ルイ16世が処刑され病没した兄に代わり幽閉下、ルイ=シャルルが事実上の17世へ即位した。壮絶な2年間の幕開けになる。

鉄格子に閉ざされた幼き日の公爵は
番兵の暴力と脅迫を受け続けた
ある朝降り注いだ自然光の中へ吸い込まれるまでは
(Symphony of The Vampire/第二楽章「Sacrifice of Allegro」)


時代背景が1793年7月頃とすると「鉄格子に閉ざされた幼き日の公爵」には違和感を覚える。
17世へ即位後1793年7月に家族と引き離され一人幽閉されるまでは番兵達の虐待も(あったとしても)そこまでではなかったように思えるし、そもそもこの時点で史実では既にルイ=シャルルは17世へ即位している。「公爵」と表すのには何か理由があるのか?

1793年1月21日、ルイ16世が処刑されると、マリー・アントワネットは息子にひざまずき「国王崩御、国王万歳*1」と言い、立ち上がるとマリー・テレーズ、エリザベートと共に深々とおじぎをした。1月28日、ヴェストファーレンにいた叔父のプロヴァンス伯爵(後のルイ18世)ら反革命派や亡命貴族は、処刑されたルイ16世の追悼式を行い、王太子を国王ルイ17世とする宣言をした。しかしルイ=シャルル本人は、革命まっただ中のパリで監禁された身では戴冠式を行うこともかなわなず、自分が国王と呼ばれていることさえ知る由もなかった[3]。
(ルイ17世 - Wikipedia)

物語の視点は不明なのでひとまず置いておいて、自身が17世に即位したと知らなかった?第七楽章の「いつか即位の時が来るまで」のフレーズも、自身がまだ“国王”である自覚がないから?





タンプル塔、脱出

「ある朝降り注いだ自然光の中へ吸い込まれるまでは」

6月6日、フィリップ・ジャン・ペルタン医師が治療に向かった。彼は「子供の神経に触るような閂、錠の音を控えるように」と士官を咎め、日よけを外して新鮮な空気に当たれるようにすることを命じた。孤独な幽閉から1年半近く経過したこの日、独房の鎧戸や鉄格子、閂がようやく取り外され、白いカーテンで飾られた窓辺をルイ17世は喜び少し、様態が改善した。
(ルイ17世 - Wikipedia)


ルイ17世への虐待が横行した時代も終末期に入ると医師の手当てや衰弱したルイ17世に救いの手が伸ばされるようになり、引用通り亡くなる二日前には漸く鉄格子等が外され独房に自然光が入った。
物語ではここで何者かがルイ17世を連れ出したと考えるのが妥当。

第二楽章「Sacrifice of Allegro」には、"幽閉されたタンブル塔から抜け出したルイ17世が、母、マリー・アントワネットが断頭台の上で処刑される姿を目にしてしまう、衝撃的な瞬間"を投影。(KAMIJO そして、新たな物語の幕が開かれた…。 | News | J-Artist World)


・運命のとき
準備をするのに4分かかり、12時15分。マリー・アントワネットの首に、刃が落とされました。執行人が、マリー・アントワネットの血のしたたる首を掲げると、『共和国万歳!自由万歳!』という歓声が、見物人から地響きのように繰り返しあがりました。マリー・アントワネットの最期の言葉は、『さようなら、子供達。あなた方のお父さんのところに行きます。』でした。(【マリー・アントワネットの最期】 - 革命に飲み込まれた王妃 マリー・アントワネット)


第二楽章でルイ17世を連れ出したのは“第三のルイ”=“ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン”。なぜ連れ出したのか?については第六楽章へ。
特集記事にもあるように連れ出される際に母=マリー・アントワネットの処刑を目撃したというのであれば正午前後、“自然光の中へ吸い込まれた”のはその時間帯にルイによって連れ出されたから、と考察。
そのまま次の楽章では馬車に乗せられて亡命を図るルイ17世

広場に集まった 民衆の声
今は反逆者 影を潜めよう
耐えられるのであれば
(Symphony of The Vampire/第二楽章「Sacrifice of Allegro」)


・心優しいシャルル
シャルルはとても心優しい面も持ち合わせていました。自分がされて嬉しかったことを姉にも味合わせてあげたいと、同じことを姉にもしてほしいと、よく要求しました。また、フランス革命が起こり、ヴェルサイユ宮殿からパリに移る馬車に飛びついた女達が、アントワネットに悪態をついた罵声を浴びせると、それまで馬車の後部座席で、両親の間でおびえていたにも関わらず、馬車の窓から顔を出して『ママを許してあげて!』と、母親を案じて叫びました。(【ルイ十七世】 - 革命に飲み込まれた王妃 マリー・アントワネット)


・父ルイ16世との別れ
タンプル塔に幽閉され、ルイ16世の裁判の判決が出て、運命の朝、『お父さんを殺さないでとお願いするんだ。お願いですから国民に話す邪魔をしないでください』と、シャルルの叫び声が牢獄に響き渡ったのです。幼い子供の言葉とは思えません。(【ルイ十七世】 - 革命に飲み込まれた王妃 マリー・アントワネット)


“耐えられるのであれば”

ここの一言が、ずしっ。。






~あの頃には戻れない~

幸せな日々はもう帰ってきません。
連れ出され生き延びる先の覚悟を感じるラスト。

革命に飲み込まれたルイ少年の運命はいかに!?


(ネタ切れ)







***

Symphony of The Vampire 第二楽章「Sacrifice of Allegro」
構成:★★★★☆
伏線:★★★☆☆
展開:★★★★★
感動:★★★☆☆
興奮:★★★★☆

総評:★★★★☆

また一つ落ちてゆく 時代の涙 断頭台
残酷なその儀式に 皆が歓喜する
(Symphony of The Vampire/第二楽章「Sacrifice of Allegro」)

目の前で散ってゆく 白い花は赤く染まる
華やかな生涯に断頭台の幕を
(Symphony of The Vampire/第二楽章「Sacrifice of Allegro」)


Symphony of The Vampireは完全に物語音楽でKAMIJOの私的感情が滲み難い作品なので、28分超えの楽曲の中から第二楽章は数少ないKAMIJO節が見れて超好き。KAMIJO節っていうか、まぁ歌詞の話。抜粋したとおり直接表現をあまりしない人だと思う。蝙蝠が蝶とかいうし…

第二楽章はライブで楽しいから楽しいです(?)
ちなみに革命広場は↓


paris.navi.com



煽ってかみじょ~!って言われ咲かれてる所を見ると、私もKAMIJOになりたいって思う。





第三楽章「Royal Tercet」

回想録

タンプル塔を脱出したルイ17世ヴェルサイユ宮殿で過ごした幸せな日々の回想録。
この第三楽章からラスト第七楽章にかけてKAMIJO作の完全ifストーリーが進んで行く(一部史実踏まえ)。

MVでは幼少期のルイ17世、母 マリー・アントワネット、当時の思い出に耽るKAMIJO演じる青年期のルイ17世が登場。
KAMIJOが着用している衣装は「Louis ~艶血のラヴィアンローズ~」時のもの(この後にLouis〜が入って来る流れから?)。


楽曲の都合(?)かサラッと触れられているだけの回想録、後に発表された「Trésor」で内容補完されている。






あわせて聴きたい「Trésor」

「Trésor」は2014/6/18発表のKAMIJO 1st メジャーシングル「Moulin Rouge」のカップリング曲。

「Symphony of The Vampire」の第3楽章の最後にオルゴールと一緒に鳴っているメロディなんですよ。「悲しいから笑っていた 嬉しいから泣いていた」という、あのときと同じ歌詞で、彼がいかに人間らしかったかというのを表現したくて。悲しいときに作り笑いをしてがんばってみたり、うれしいときに涙を流したりという、当たり前の感情を持つ、純真無垢な少年だったということですね。「Symphony of The Vampire」の中ではそこまで具体的に示してはいなかったんですが、ここで初めて、その歌詞の意味がわかってもらえるかなと。(KAMIJO「Moulin Rouge」「闇夜のライオン」インタビュー (2/3) - 音楽ナタリー Power Push)


ソロになって低音を利かせる、おどろおどろしい、とか色々歌い方を変えてるKAMIJOの何処か懐かしく優しい、明るい楽曲。
ルイ17世がヴァンパイアへ覚醒する前の人間らしさが表れており、第三楽章「Royal Tercet」とは対に“父(=ルイ16世)”も登場。






新章への伏線

馬車に乗せられて身柄を移された私
そう人知れず去った亡命貴族
(Symphony of The Vampire/第三楽章「Royal Tercet」)


28分中の2分11秒の超短編作品の中にはパリ亡命から在りし日の思い出、ルイ17世の人間らしさにまで触れられ、尚且つ2016年 Aestheticismツアー(お風呂に浸かってる新章)の伏線まで含まれていた。

伏線どこ?というと最近良く耳にする謎のキーワード “亡命貴族”。
読んで字の如くフランス革命の折、パリから亡命した貴族達を指すらしい(後で補完します)。フランス語では“エミグレ”と呼ばれ、新章への導入にそのエミグレが関わる物語が明かされている。



KAMIJO ナレーション
2015年
4年前に亡くなった夫の墓石の前で祈る老婆と、その母を見守る息子。毎年訪れるその墓に夫は眠っておらず遺体は死後すぐに行方不明となっていた。

2011年
十分すぎる月明かり、その月明かりが父の愛としてテラスに立つ2人に降り注ぐ。それを目撃したただ一匹の蝙蝠は言った。
『今宵も美しいものを見せて貰った。この遺体の契約期間は5年間。あっという間だ。人々のためにも沢山の血を作ってもらわなければならない。さあ、そろそろお別れの時間だ、連れて行くぞ』

〜SE〜

KAMIJO MC
『我らはエミグレの使者、亡命貴族を御迎えにあがりました』


※記憶がポンコツなので『』以外は要約。



ライブでは1曲目から物語として流れて来た所をフランス革命から200年後として一度切り、この導入が流れる。ここは録音なので各所変わらず同じ話。

それでここに出てくる亡命貴族の伏線って結局なんのこっちゃ?って話だけど、ようは今度の新章でルイ17世が「血をエネルギーに変えられる研究があるからこれで犠牲のない理想世界を作ろうよ!」「その血は遺体を蘇らせて作るよ!」「だから亡命貴族の遺体回収するよ!」って事で伏線扱いにしてみた。
2年前の作品にさえこんな伏線ワード含まれてるからKAMIJOソロ壮大過ぎない?多分この時はまだ逃げてきただけのショタっ子なんだけど。

大幅に脱線話でした。







***

Symphony of The Vampire 第三楽章「Royal Tercet」
構成:★★★☆☆
伏線:★★★☆☆
展開:★★★☆☆
感動:★★★☆☆
貴族:★★★★★


第三楽章「Royal Tercet」/「Trésor」
構成:-
伏線:-
展開:-
感動:★★★★☆
貴族:★★★★★

総評:★★★★☆


どちらもThe 貴族感しかない。
ライブの、あの動き好き…(揺れてるやつと半月描くやつ)

*1:Vive le roi

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